正直すぎる生き方が苦しく清い写真家・神蔵美子さんの私小説写真集「たまもの」、「たまきはる」で人生とは何か?愛とは何か?を考えたりするのです。


たまもの+たまきはる

いきなり表紙が泣いてます。
おじさんが深い思いにふけっています。

写真集というよりも私小説、独白小説な2冊です。
2冊で完結。

読んでいて辛くなる人もいるでしょう、ばからしいと思う人もいるでしょう。
いずれ、あまりにも明け透けすぎるこの本の登場人物に読者は揺さぶられるからなのだろうな、と思います。

著者は、神蔵美子(かむくらよしこ)さんという写真家。
本は写真集ですが、ふんだんに文字部分もあり、どちらかというと小説、私小説。

表紙写真の女性が神蔵美子さん。
男性が末井昭さん。

主な登場人物は、最初の「たまもの」では、
末井昭という編集者と、坪内祐三という評論家。
たまもの

この3人の不倫三角関係が描かれています。
もうどうしようもない不倫なんだけど、3人がなぜか苦しくも前向きに進んでいってる姿が異様に神々しいような。
そんな特異な不倫の沼(?)にはまってしまった3人の物語です。
普通以上に正直で純粋すぎる神蔵さんという女性に出会ってしまった純粋な男2人の物語でもありますね。
友情(?)を育んでゆく男2人。

そして、3人のご家族やご友人などの周囲の方々も次々に出てくる。
地位や立場のある方も多いです。
そういった方々がこの本に出るというのも驚きなんですが、神蔵さんにかかるとなぜかそれも普通に見えてきてしまうから不思議です。

神蔵さんは、天才アラーキーこと荒木経惟氏を師とするためでしょうか、実に苦しいほど切なく人間の内面に入っていくのですが、その内面が自分や自分の周囲の人々。
それらをあけっぴろげにしてしまうような。出会ったら心の深くまで飛び込まれてしまうような、そんな方なのかなあと思います。

たまきはる

続く「たまきはる」では、さらに神蔵さんと末井さんの魂の旅は続きます。

神蔵さんの写真と文章に、時折末井氏の日記や文章が入るような形で本は進んでゆきます。

神蔵・末井の夫婦はキリスト教会に通ったりして、聖書の話が多くなってきます。
障害者プロレスに関わったり、寺山修司氏や銀杏BOYZや、様々な人とかかわってゆきます。
神蔵さんは末井氏と結婚生活を送る中でも、前夫の坪内氏の怪我の容体が気になっていたりします。
あるクリスマスの日、そんな状態を抱えて気まずい雰囲気の中、二人で教会へ向かいます。
神蔵さんがクリスマス集会の前、相談用紙に「『汝、姦淫するなかれ』この聖句にそむいた自分は、もうずっと罪深いままなのでしょうか?」と書きます。
その後の集会で神蔵さんは、「嫉妬の感情」という気づきをもらい、まだ苦しさは続きながらもまた悩み進んでゆきます。
(一部引用86ページ)

実に、自我と自意識の葛藤、闘いに明け暮れる神蔵さんと末井さんなのです。
なぜこの人たちはこんなにも苦しく生きることを選んでしまったのか、と思いながら見つつ読みつつ進んでしまうのですが。

純粋力+自殺_末井昭
登場人物の末井昭氏は「自殺」や「純粋力」を書かれた方です。

「純粋力」は西原理恵子さんが帯描いてます。

素敵なダイナマイトスキャンダル」は生母がダイナマイト心中してしまうという、そんな話を描かれています。

もうお二方とも、実に痛々しいほど正直な。
なぜ運命はこのような試練を2人に与えたもうー!と叫びたくなるような、そんなお二人の本でした。

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