「チベットの焼身抗議」。チベット亡命政府とともに働く日本人の中原一博さん渾身の本です。


本棚お助け隊 菅原でございます。

チベットの焼身抗議 以前のブログエントリでも書きましたが(「禁書や売るのに悩む本、とても売りたい本などについて考えました。」)、「チベットの焼身抗議」、読了しました。

多くのチベット人が自らの身を燃やしてゆく。
僧侶のみならず、農民や遊牧民などの俗人、それも幼い子を持つ若い父や母たちまでもが自らに火を放ち続けている。

焼身者の写真も多く掲載されています。燃えていった、たくさんの人々。

一部を引用をさせて頂きます。

『中国では国防予算より国内の保安予算のほうが多いことは有名である。国内の敵である不満分子を抑えるための中国の保安予算は膨大』で、『チベットに問題が無くなり、デモや焼身の騒動がなくなると彼ら(地方役人)は仕事がなくなり、金も入らなくて困ることになる。』
(P61)


(2人目の焼身者、プンツォの葬儀について。チベットでは鳥葬が多い。)
『プンツォはガソリンで焼身自殺し、ひどく殴られていて、タカやワシが飛んでくるはずもなかったので、火葬することになった。』
(P79)


(2人目の焼身者、プンツォがいたキルティ僧院の僧侶インタヴュー)
『人間は苦痛が極限に達した時には、恐怖やためらいなどはまったく消え去るものなのです。』
(P85)


(27人目の焼身者 リンツェン・キ。)
『~最年長13歳から最も幼い子は1歳にも満たないという4人の子供が孤児として残された。子供を持つ母親が焼身したのはこれが初めてである。』
(P125)


(チベット人作家ウーセルらの署名運動「焼身抗議をやめてください」での呼びかけ)
『~26人が我が身を炎と化したことは、十分にチベット人の意思を表明しています。しかし、これは最終的な目的ではありません。希望を現実にすることこそが私たちの最終的な目的です。』『私たちに悪意を抱く人は、密かにみんな死んでしまえば一番いいとたくらんでいます。私たちは生き抜いて、奮闘・努力してこそ現実を変えられるのです。』
(P126)


(32人目の焼身者ソナム・タルギュ。44歳、農民、大工、3児の父)
『ソナムは焼身により確実に焼身を遂げ、さらにその後中国の警官に容易に持ち去られないようにと、特別な細工を身体に施していた。有刺鉄線を使い腹や胸の周りに多量の綿を巻き込んでいたのだ。(ガソリンで焼身)』
(P132)


(51人目の焼身者、ドルカル・キ。農民、2児の母)
『駆け付けた僧院の僧侶に対し『生きたまま中国に捕まえられたくない。石で私の頭を割って殺してくれ』と懇願したという』
(P157)

(69人目の焼身者、ドルジェ・ルンドゥップ。25歳、2児の父)
『僧侶たちは~僧院裏の丘の上に遺体を運んだ。(中略)この丘は僧院のラマ(高僧)等が死亡したときのみに使われる特別の葬儀場であり、一般人でこの葬儀場に運ばれたのは今年(2012年)3月17日にレゴンで焼身、死亡したソナム・タルギュのみという。』
(P176)

(米在住の中国人民主化運動家、楊建利氏とダライラマ法王との会話)
『彼は私に中国の新しい首脳陣の状況を訊ね、私は手短かに答えた後、声を低く振り絞って申し上げた。「昨日、3人が。。。」。「知っている。知っている」法王は仰った。もちろん法王には私が言いたいことが分かっていたのだ。「私は無力だ。私は無力だ。。。」続けて法王はそう仰った。言葉を交わしたとき、私は法王の眼を見つめていた。彼は5本の指で強く私の手を握って言った。「ただこれほどつらいことはない。。。燃えていく、燃えていく。。。」。そのとき法王の目は涙をいっぱいにたたえていた。私の眼からも涙が流れ落ちた。
(P196)※引用元原文:http://lungtaprojectjapan.tumblr.com/post/36584106056/2012-11-16

(102人目の焼身者、ツェリン・タシの叔母でVOAボイス・オブ・アメリカのアナウンサー、ツェリン・キの報告。)
『私は以前、メディアで焼身抗議するチベット人の状況を訴える放送を行ったり、記事を書いたりした。(中略。自分は)生きたままの身を焼く肉親を見送ることの悲しみに耐えることができなかった。』
(P210)

(生き残ったある焼身者の証言)
『私はこのような弾圧下の苦しみに耐えることがもうできないのです。私は焼身抗議を行おうと思いました。私は十分燃えることができず、焼身は失敗に終わってしまいました。今、私はどこへも行けず、すべての生活を人に頼るしかない状態です。』
(P252)



引用はここまでにさせていただきます。

著者の中原一博さんは、サイト「ルンタ プロジェクト」を主宰され、チベット亡命政府のあるインド、ダラム・サラより情報を発信し続けています。

今回のエントリは以上です。

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