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『深い河』(遠藤周作)の圧倒的インパクトを思い出させる初夏の暑さ

P山です。

東京は25℃を超える日々が続き、なんだか夏みたいです。
各地の皆さんはどうでしょうか?
2015年5月 歴史的な暖かさか」という記事によると、本当に暑いようですね。
例年5月は20度ぐらいなところに、いきなり30度近いのですから。
北半球全体で暑いらしく、何とスペインのバレンシアでは42度!
これは今年は酷暑な予感ですが、どうなるのでしょう。

暑さの中で、
突然ですが、P山の独断と偏見によるおすすめ本のご紹介です。

深い河 (講談社文庫)

ベストセラーなので読まれた方も多いと思います。
宇多田ヒカルさんの「Deep river」という歌の題材にもなったそうですね。
遠藤周作さんのキリスト教文学の集大成的な作品だと言われている作品です。
この本をP山が読んだのは、大学のゼミでした。
それまでも遠藤周作さんの作品はおそらく読んでます、沈黙とか。
P山にとって遠藤周作作品との出逢いはよく覚えていないんですが、独特のユーモアのある文章が好きだったように記憶しています。
エッセイとか読んだのでしょうか。
ご尊顔のイメージと相まって飄々とした文章が何となく好きでした。

で、このゼミの先生が面白い先生で、禅の法嗣でありカトリックの神父であるという人。おまけに学部生時代の出身は工学部という理系ご出身という。
これだけ見てもユニークな人物と思いませんか?
キャンパスをうろついている姿を見ると、ただのくちゃっとしたおじいちゃん(失礼)。いつもほんのり笑みを湛えてられてました。
仮にA先生とさせて頂きます。
P山は何の拍子か、このA先生のゼミを選んだのです。
なぜ選んだのかはっきりとは覚えていませんが、P山のことですから大した理由ではありません。きっと「楽そう」とかそんな理由です。
(というわけでP山の不義と先生の名誉のために先生の実名はいったん伏させて頂いておりますがご了承下さい。)
ゼミを選ぶ前までもA先生とは特に接点はなかったと思います。

しかしA先生には感謝しています。
ゼミの授業で能や狂言を観に行ったり、合宿に行ったり散歩に行ったり。って、本筋の勉強のことはないですね。。。
おかげで能の見方も分かったし狂言の楽しみ方も分かりました。太郎冠者とか。
改めてどんなテーマのゼミかは忘れましたが、おそらく宗教学とかそんな感じだったと思います(イイカゲンですみません)。
本題に戻ると、ゼミのテーマが、上記「深い河」をゼミ期間かけて読み解く、というものでした。
内容はネタばれになるので本に譲りますが、宗教観と人生観、死生観が渾然一体となり貫かれているもので、そのテーマに圧倒され、今もまだ圧倒され続けています。このテーマは今でもしばしば頭の中で反芻することが多いです。
ゼミの進行とは別に、内容に引き込まれてどんどん読み進めていって、買ったその日に読み終えてしまったのを覚えています。
脳天が殴られたような感じでした。ガーンと。
なんか、もやもやした自分の中にあったものを内臓抉り出されて引っ張り出された、という感じでしょうか。
苦しいような気持ち良いような、頭を何かものすごい重いもので押し付けられながらも「ふがー!」ってくいしばって頑張るみたいな感覚があったのを思い出します。
インドの話もありました。
P山はインド未経験ですが、想像も絶するうだるような暑さやガンジス川やバラナーシ、都市のごちゃごちゃとした喧騒は何となく想像で持っています。
そのイメージともしっくりくるどころかそれを凌駕するような場面がどんどん出てくる。
インド、暑いなんてもんじゃないね!と。
暑さの中に、人間の業やら縁やらなんやらがもうごった煮なんですね、インド!というビジョンが強烈にやってきたのを思い出します。
(すみません、P山の偏ったイメージにて失礼な記述をお許しください)

このような深く大きな意味のある物語に出会うというのは貴重な経験だと実感しました。

今の時代に、読まれてもいい本だな、と思い出した次第でした。
自分ももう一度読んでみます。。