スタッフブログ

読むだけでなく質感やそのもの自体を楽しむ本:「あたしとあなた」谷川俊太郎

あたしとあなた

ブログ毎日1本目。
あたしとあなたという本があります。
著者は谷川俊太郎さん。

本というものを考えると、これからじわじわと電子書籍の売り上げが伸びるのかどうかわかりませんが、リアルの紙の本については、現在以上に発行数が増えてゆくことはとても考えにくいと思います、一般的に。
そんな中で、こんな本は面白いですね。
本にはコンテンツとしての価値と、本そのものとしての価値もあった、ということです。

コンテンツである詩集としてももちろん素敵な内容です。
ご一読下さい。

内容とあわせて、
紙を使った、本のかたちをとった、
ひとつの工芸作品というか、芸術作品としての成り立ちをしています。

『にび色(渋い茶色)の布貼り上製本の前面に、青・白・金の3色の箔を押した工芸品のようなたたずまいのブックデザインは、気鋭のブックデザイナー・名久井直子によるもの。
「一番大事なのは、目の前の言葉を載せる紙」というコンセプトから、本書の制作は「この本のためだけの特別な紙」を作ることからスタートしました。
伝統の高級越前和紙で知られる石川製紙株式会社の協力を得て、しっとりとした質感の鮮やかなブルーの紙が誕生。
まさに、日本の職人技から生まれた贅沢な1冊です。
谷川俊太郎、名久井直子のエッセイを収録した特製しおり付き。』(アマゾン商品ページより)

ちなみに、表紙の一部を見てみると。。
あたしとあなた_表紙一部

紙もののアート作品や工芸がお好きな方はビビッと来るかもしれません。
上記説明の通りに、布張り面に絵の具が塗ってあるような仕上がりです。
これどうやって作るのかなと思わせます。
中のぺージの青い紙も素敵だし、
裏表紙部分に張られた濃紺の紙も色合いがなんともいえないです。

将来の本のひとつの姿なのかもなと思います。
テキスト自体はデータ化していってどこでも誰でもどんな風にでも接することができるように限りなくなってゆくのだと思います。
一方で、このような実物を楽しむモノとしてもありかな、と。
古本も、現物自体を楽しむモノとして生き続ける要素が出てくるのかも知れません。
現に和本(明治以前ぐらいに出た書籍。糸綴じだったりするもの。ざっくり説明。)などのコレクターさんがいたりします。もちろん文献や資料としての利用もあると思いますが、一方で骨董品的な価値を見出し、そのものの所有や愛玩を楽しむ文化があります。
もしかしたら映画マトリックス的に知識やデータなどは瞬時に脳に入ってきて記憶や学習自体は必要なくなる世界がやってきても、人間の肉体がある限り衣食住はなくならないような気がします。手で触る、目で楽しむ、というのがある以上、物品をめでるというのも存在し続けるような気がします。

ちなみに菅原は谷川氏のお姿をお見かけしたことがあります。
20年ぐらい前、東京のJR中央線、阿佐ヶ谷駅の南口ロータリー付近。
ママチャリに乗られて、おそらくご婦人(佐野洋子さん?)と、ちゃりちゃりーと南阿佐ヶ谷方面へ中杉通りを走ってゆかれるのを拝見しました。
南阿佐ヶ谷に住まれているというのは存じておりましたが、ああいった生のお姿を拝見するとは思いがけず、ちょっと驚きな颯爽としたおじいさまだったことを覚えております。
と有名人見たぞ自慢でした。
ちなみに東京におりますといろんな方をお見かけしますが、吉祥寺にお住まいだったり生活拠点がある方のほとんどが見られているのが楳図かずおさん。
あのままの赤白ボーダーで伊勢丹付近やらうろうろされています、菅原も一度拝見。
気さくに「ぐわし!」とかやってくれるらしいです。

と、ブログ毎日宣言から一作目のエントリーでした、終わります。