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絶版本や復刊本の買取もしてます。伊丹十三訳「ポテト・ブック」など名作レシピ本とか。

ポテトブック_表紙

こういう本があります。
いわゆるレシピ本なんですが、写真は載っていません。

アメリカで当時ベストセラーだったそうで、そのせいかどうか、トルーマン・カポーティが序文
こちらの序文には、カポーティが「私にとっては唯一のポテトの食べ方」であるとして、「湯気を立てているポテトを割ってサワークリームをこってりとかける。今だ!とばかり、(中略)ベルーガのキャビアをポテトの上に小山のように盛り上げる。さあ、かかれ!」とあります。
日本で言えばさしずめ「塩辛ポテト」でしょうか。
siokaraポテト
(画像:http://www.kibun.co.jp/cms1/kibuncontent/uploads/22161.jpg)

で、
なぜか伊丹十三さんが訳してます
伊丹氏といえば日本映画界が誇る巨匠。
また著書も数多く、どれも名文です。
伊丹十三記念館オフィシャルサイト:伊丹十三という人物 ―→ 著者としての略歴
女たちよ!男たちよ!子供たちよ!」なんて好きです。

伊丹さんは一通り作ってみたそうです。
だから面白いのでしょうか。作りたくなるレシピ(伊丹流では「レセピー」)ばかり。

挿絵もところどころありますが、料理の絵なんてないんです。

ポテトブック、奥付
出版は昭和54年つまり1979年です、従って37年前。

名著・名訳として名高かったと思われますが、ついに2年前、2014年11月に復刊されたのですね。
河出書房新社「ポテト・ブック」ページ
元版はブックマン社

ポテトブック、天
こちら、当店にある在庫本なのですがやはりとても古いのでヤケや変色もそれなりにあります。
根強い人気のある絶版・復刊のロングセラー本として、ひとつの例のご紹介です。

レシピ本、料理や食べ物についてはたくさんの本があります。
例えば、こういう本があります↓。

こちらは、著者の土屋敦さんが数多くのレシピ本から自作・実食されて「これだ!」というレシピが載っています。
ちなみに土屋敦さんはHONZで書かれています。

「このレシピがすごい!」は、読み物としてすごいのですが(なんせ新書!)、土屋さんがあまたのレシピ本を読み込まれているのもすごいです。
文章を読んでみると作りたくなってくるんです。

レシピ本って、写真で見せるのと文章で語るものと大きく二つ分かれると思います。
世の趨勢は写真のものですよね、そのほうがわかりやすいし。
レシピ本としては、写真を見ただけで「おいしそう!」となり「作ってみたい」となり、そして写真だけで大体のレシピがつかめることも大事だし。また写真ではわからない料理レシピはそのレシピテキストを読ませる力も必要ですし。
写真のレシピ本は「データ」として、文章のレシピ本は「読み物」としての性格が強くなるのでしょうか。

また、レシピ本というジャンルは、流行がとても強く反映されるジャンルでもあると思います。
最近は何が流行っているのでしょう?
オレン○ページやレタ○クラブあたりの特集を眺めたり、付録付きのレシピブック(なんとかスチーマーとか)とかでよくわかります。

文章でぐいぐいひきつけるものもあります。
例えば、

とか。
パンを自分で焼いたり、いろんなパンやさんで買うことが好きだったりする人にはとても面白い内容です。
(これはちょっとレシピ本とは違うかな。)

で「ポテト・ブック」は、後者の読ませる本です。
レシピがテキストのみで書いてあります。
テキスト中心だったりテキストがしっかりしているレシピ本の中には、意外とロングセラーなものが多いような気がします。

いのちのスープで有名な辰巳芳子さんのこちら↓とか。

季節の変わり目です。
しっかり食べて元気に過ごしましょうー。